綴じ方の種類

本を製本する際には、さまざまな綴じ方が使用されます。以下に代表的な綴じ方の種類とそれぞれの特徴をご紹介します。

❚ 中綴じ(saddle stitch)

中綴じは、ページを中央で折り、背に沿って糸やホチキスで綴じる方法です。主に雑誌やパンフレット、小冊子などに使用されます。この方法は製本が簡単で、開きやすい利点がありますが、ページ数が多いと真ん中部分が膨らんでしまう欠点があります。

【用途】パンフレット、週刊誌、会社案内など

中綴じ

❚ 平綴じ(side stitch)

平綴じは、ページを重ねて一端をホチキスや接着剤で固定する方法です。主にメモ帳やノートなどに使用され、作成が簡単でコストも低いです。ただし、ページ数が多い場合や頻繁に使用する場合には、耐久性に劣ることがあります。

【用途】企画書、報告書、社内資料など

平綴じ

❚ 無線綴じ(perfect binding)

無線綴じは、ページを一つ一つ個別に糸や接着剤で綴じ合わせる方法です。背が平らになるため、ページ数の多い書籍や雑誌に適しています。ただし、ページを完全に開ききれないため、ノドの部分のデザインに注意が必要です。

【用途】並製本でよく用いられる。文庫本、カタログ、雑誌など

無線綴じ

❚ アジロ綴じ(burst perfect binding

無線綴じの一種で、16ページや8ページごとに折丁を作り、その際ページを切り離さずに背に細かい切り込みを入れて接着剤を浸透させることで、無線綴じより強度を高めた綴じ方です。

【用途】文庫本、月刊誌など

アジロ綴じ

❚ 糸綴じ(糸かがり綴じ)

糸綴じは、上製本で主に使われる綴じ方で、ページを束ねて糸でしっかりと縫い合わせる方法です。非常に丈夫で、大きく開いてもページが脱落しにくいメリットがあります。そのため、長期間にわたって使用される本や高級書籍に適しています。ただし、製本の手間とコストがかかるため、上製本でも無線綴じやアジロ綴じで製本される場合も増えています。

【用途】上製本でよく用いられる。百科事典やページ数の多い書籍、写真集、絵本など

糸綴じ。糸かがり綴じ

❚ ミシン綴じ

中綴じや平綴じのように針金ではなくミシンで縫い合わせる方法で、180度開きやすく丈夫な仕上がりになります。

【用途】40ページ以下の絵本やノートなど。

ミシン綴じ

❚ 和綴じ

和綴じは、伝統的な日本の製本方法です。ページを折りたたんで重ね、四隅や側面を糸で綴じる方法です。美しい仕上がりで、特に和本や伝統工芸品の製本に適していますが、製本に時間と技術が必要です。

【用途】俳句集、御朱印帳、古書の復刻版など

和綴じ
左から四つ目綴じ、亀甲綴じ、康煕綴じ、麻の葉綴じ

製本の綴じ方には、それぞれの特徴と用途があります。本の種類や使用目的に応じて、最適な綴じ方を選ぶことが重要です。


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